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ストーカー 誘う女|最終回雛形あきこと陣内孝則の怪しい空気感と、ポツンと一軒家の不気味さが忘れられない

先日、久しぶりにドラマ「ストーカー 誘う女」を観ました。
この作品は1997年に放送されたサスペンスドラマで、当時からちょっと異質な雰囲気が漂う作品だと話題になっていたんですが、今改めて観てもやっぱり面白い。どこか現実離れした不気味さがあって、最後まで目が離せませんでした。

主演の雛形あきこさんが演じる女性の存在感がすごいです。ちょっと不安を誘うような色気と、どこか危うい空虚さが同居していて、一言では形容できない独特の雰囲気。雛形さんがあの当時20代であの表現をしていたことに改めて驚きました。

最初はこんな美人でかわいい女の子が家にきてくれたら、正直ちょっと嬉しいなぁ…なんて思ってしまうんですよね。でも男の気持ちとはうらはらに、どんどん生活に入り込んできて、だんだん逃げられなくなる感じが本当に怖かったです。あの“甘さと恐怖が混ざる感覚”は、このドラマならではだと思います。

夜のあやまちが、こんな風に取り返しのつかない恐怖を呼び寄せるんだなと痛感しました。あの“甘さと恐怖が混ざる感覚”は、このドラマならではだと思います。男も女も、ただの遊びではすまされない時がある。

そして、陣内孝則さん。軽薄でチャラいのに、どこか底知れない怖さを感じさせる演技が絶妙でした。最初は「この人が何かしでかすんじゃないか」と思わせておいて、結局いろいろと裏切られる展開が多いのも、このドラマの魅力だと思います。

それに加えて、ところどころで見せる真面目で誠実な一面もとてもよかったです。単なる軽い男ではなくて、内側に責任感や優しさがあるからこそ、最後まで憎めないキャラクターに見えました。

出演者も今となっては豪華です。麻生祐未さん、袴田吉彦さん、小林稔侍さんといった俳優陣が脇を固めていて、それぞれのキャラクターがしっかりと物語に厚みを持たせています。

特に麻生祐未さん、44歳のおじさん目線で改めて見ると「本当にかわいい奥さんだなあ」としみじみ感じました。袴田吉彦さんも当時はまだ若く、爽やかで少し影のある青年役がとても似合っていた印象です。まっすぐで正義感のあるキャラクターもすごく良かったです。物語全体が不安定で危うい雰囲気の中、彼の存在が少し救いのように感じられました。小林稔侍さんはあの独特の安心感。サスペンスなのに彼がいるだけでちょっとホッとするような、不思議な安定感がありました。

小林稔侍さんの義理のお父さん、めちゃくちゃ理解があって優しいんですよね。
ああいう人がいてくれるから、余計に主人公の苦しさや葛藤が際立って見えました。

あんなに理解してくれる義理のお父さんって、現実にはなかなかいないんじゃないかなと思います(笑)。だからこそ、物語の中で彼の存在が本当に大きかった気がします。

もう一つ、この作品を語るうえで外せないのが、ロケ地の存在感です。舞台は千葉県成田市にある公津の杜駅。ドラマに出てくる駅前の広場には、当時はまだ周りにほとんど建物がなくて、本当にポツンと新築の一軒家が建っているだけだったらしいです。開発途中の土地に新しい家が一軒だけ建っている光景って、現実ではめったにないし、あの異様な孤立感が作品の不気味さを何倍にも増幅させていたと思います。

あの一軒家を初めて画面で観たとき、「電気や水道ってどうなってるんだろう?」「なんで駅前にこの家しかないんだろう?」と素朴な疑問がわいてきました。ドラマの中ではあまり触れられませんが、むしろその説明不足が余計に怖い。現実感が微妙にズレているからこそ、「もしかしたら本当にこういう場所があるんじゃないか」と思わせる力がありました。

最終回はどうなるんだろう、とずっと気になりながら観ていました。少しネタばれになりますが、みちるが家に乗り込んできたシーンは本当に怖かったです。あの瞬間、サスペンスから一気にホラー映画のような空気に変わるのが印象的でした。子どもの頃に観たジェイソンや、手に爪のグローブをつけたフレディ・クルーガーを思い出して、ゾワッと鳥肌が立ちました。あの得体の知れない執念深さが、ストーカーというテーマの恐ろしさを一番強く感じさせる場面だったと思います。

改めて観て感じたのは、サスペンス作品って、ストーリーや演技だけじゃなく、ロケーションの不気味さや「場の空気」がものすごく大事だということです。あの時代特有の、ちょっと無機質で整っていない街並みが、主人公たちの不安や孤独を映し出す鏡みたいになっていました。

今の目線で見ると、出演者それぞれの若さや当時の流行、まだ開発が進んでいない駅前の風景など、当時の空気がしっかりとパッケージされていて、まるでタイムカプセルを開けたような感覚になります。こういう作品は、年月が経つほどに面白さが増していくんだろうなと改めて思いました。

もし当時リアルタイムで観ていた方がいたら、ぜひ思い出を共有してほしいです。まだ観たことがない方も、今の視点でこの作品を味わうと、新しい発見があるかもしれません。