皆実がもし“彼女ができた”なんて爆弾ニュースを落としたら、その瞬間に周囲の人間は確実にバタバタ倒れる。
あの寡黙で人に興味が薄そうに見える男が、誰かを好きになる。
しかも「付き合う」にまで発展する。
それだけで、何かの神話レベルの事件だ。
当然、兄弟と仲間は黙っていられない。
そして始まるのが──通称 「皆実の彼女問題・緊急対策会議」 である。
■ 第一章:兄・清二(長男)のパニック
清二は普段は無表情で、感情を見せないタイプ。
だが“弟の恋愛”という予想外のジャンルをぶつけられると、一瞬でシステムが落ちる。
「……皆実が? 彼女……?」
手に持っていた書類がゆっくり落ちる。
完全に処理落ちしている。
清二の頭の中では同時に三つの回路が火花を散らす。
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(弟が幸せになるなら、兄として祝福したい)
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(だがどこの誰だ? 本当に信用できるのか?)
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(いや待て、皆実に恋愛? そんな世界線あった?)
清二の最初の行動は「相手の情報収集」だ。
心太朗と違い、清二は表に出ずに“静かに全部調べるタイプ”。
職場、性格、周囲の人間関係、家族構成…調べられるものは全部調べる。
しかも悪気ゼロで“必要な確認”として淡々とやるので誰も止められない。
ある意味一番怖い。
■ 第二章:次男・心太朗の大暴走パート
心太朗はタイプが違う。
“弟に彼女”というだけでテンションは一気に100%を超え、
家中を走りながら叫び散らす。
「おい!皆実に彼女できたって本当か!!」
「どんな子?可愛い?優しい?背は?趣味は?それ俺にも紹介してくれんの?」
もう止まらない。
本人より周囲が騒いでる状態になるのが心太朗のテンプレ。
彼は嬉しさが先に立つタイプなので、
「皆実が恋愛とか……あーもう泣きそう!最高やん!!」
と号泣寸前。
しかしその後、兄としてのスイッチが入り、
「……でもさ、本当に皆実のこと大切にしてくれる子なんか?」
「傷つけるようなことしたら、俺……ちょっと黙ってへんで」
と地味に怖い圧を出してくる。
心太朗は“熱さで守るタイプ”なので、相手からしたら一番プレッシャーが強いかもしれない。
■ 第三章:仲間たちの反応
兄弟以外にも、皆実の周囲の人間はみんな大騒ぎ。
● 同僚A
「皆実さんが……恋愛?ウソでしょ……」
職場で一番ざわつくタイプ。
数人が椅子から落ちる。
● 同僚B
「皆実さん、そんな素振り一切なかったじゃん。
どういう展開? 映画化する?」
なんかよくわからんが祝福より興味が勝つ。
● 女性陣
「うわぁぁぁ……!!誰よその子!!!
絶対美人でしょ!性格良いでしょ!何その奇跡!」
完全に熱狂のライブ会場。
■ 第四章:当の本人、皆実は?
皆実はというと……
めちゃくちゃ困惑している。
本人は特に隠す気もなく、淡々と
「……まあ、そういう…ことに、なった」
くらいしか言わない。
そこに1000の質問が飛んでくる。
「どこで知り合ったん?」
「初デートの場所は?」
「告白はどっちから?」
「惚れた決め手は?」
皆実は少しだけ頬をかきながら
「……うるさい」
と低い声で返す。
でも耳がほんのり赤い。
それを見た全員は、
「ほんまに好きなんやん!!!」
と爆発する。
■ 第五章:兄弟による“彼氏面会議”
最終的に兄弟三人が集まり、真剣な顔でテーブルを囲む。
議題:皆実の恋人をどう迎えるか
心太朗
「俺は最初から優しくするつもりやで?でも弟泣かされたら話は別やけどな」
清二
「まずは人柄を見る。それからだ」
皆実
「……勝手に決めるな。俺は、別に……守ってもらわなくていい」
清二
「いや、お前の問題ではない。家としての話だ」
心太朗
「せやせや、これは“兄の義務”や」
皆実
「…………はぁ(あきらめ)」
こんな具合で、なぜか皆実の恋愛なのに兄たちの方が本気。
弟を溺愛している兄たちだからこその“地獄の圧”が形成される。
■ 第六章:最終的に起こる奇跡
そしていよいよ、皆実が彼女を連れてくる日。
心太朗はスーツを着て緊張し、
清二は微妙に高いお茶菓子を準備し、
皆実は「やめろって言っただろ……」と低い声でぼやく。
だが彼女が挨拶した瞬間、
兄二人は“秒で落ちる”。
清二
「……なるほど。良い人だ」
心太朗
「皆実、こんな素敵な子連れてきよったんか。
すごいやん。ほんま、大事にせなあかんで」
皆実は少し恥ずかしそうに、
でも誇らしげに小さくうなずく。
その瞬間、兄弟三人の距離がいつもより少し近くなる。
それが一番のハイライトかもしれない。
■ 結論:皆実の恋愛は、家族をひとつにするイベント
皆実が誰かを好きになるというだけで、
周囲の人間は勝手に祭りを始めてしまう。
でもそれは、
“皆実を大切に思う人が多い”
という証でもある。
不器用な家族だけど、
弟の恋愛だけは全力で祝う。
たぶんそんな姿が、一番彼を嬉しくさせるんだろう。