『PERFECT BLUE(パーフェクトブルー)』を観ていて、
一番“説明されない人物”がルミやと思う。
未麻の過去は、
アイドルから女優への転身として
はっきり描かれる。
でもルミはどうや?
元アイドル、
今はマネージャー。
それ以上のことは、
ほとんど語られへん。
せやけどな、
この映画、
語られへん部分にこそ
いちばん大事なものが詰まってる。
今回は、
ルミの過去に何があったのかを
静かに想像しながら考えてみたい。
ルミも、かつては「未麻」やった
まず確実に言えること。
ルミは、
かつてアイドルとして活動していた。
つまり彼女も、
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ファンに笑顔を向け
-
清純さを求められ
-
「理想の女の子」を演じていた
その世界を、
未麻より先に生きていた人や。
そしておそらく、
未麻ほど幸運ではなかった。
ルミがアイドルを辞めた理由は語られない
作中では、
ルミがなぜアイドルを辞めたのかは
はっきり語られない。
でも想像できる理由は、
いくらでもある。
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人気が落ちた
-
年齢の壁
-
次の道が見えなかった
-
求められる「役」がなくなった
どれも特別な話やない。
芸能の世界では、
よくある現実や。
そしてその現実は、
未麻がこれから向かう未来と
地続きでもある。
夢を「終わらせられなかった人」
ここがルミの一番しんどいところやと思う。
未麻は、
自分で区切りをつけた。
怖くても、
「アイドルは終わり」と
自分の口で言った。
でもルミはどうやったんやろ。
たぶん、
終わらされた側や。
夢を、
自分で畳むことができなかった。
それは未練になる。
執着になる。
そして時間が経つほど、
過去は美化されていく。
マネージャーという立場の残酷さ
ルミは今、
「未麻を支える側」にいる。
これがまた、
めちゃくちゃ残酷なポジションや。
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スポットライトは当たらない
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でも現場は一番近い
-
若さも、注目も、全部目の前にある
かつて自分が立っていた場所に、
今は別の誰かが立っている。
しかもそれが、
昔の自分を思い出させる存在。
心が揺れへん方が、
おかしい。
ルミにとって未麻は「過去の自分」
ルミは未麻を見て、
何を感じていたのか。
それは、
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守りたい存在
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応援したい存在
-
そして、羨ましい存在
未麻は、
ルミが戻れない場所にいる。
だからルミは、
未麻を「前に進ませない」ことで、
自分の過去を守ろうとした。
未麻をアイドルのまま
留めておくことで、
過去の自分も
否定されずに済むからや。
ルミの過去は「今」を縛っていた
ルミは、
過去を生きていた。
過去の栄光、
過去の自分、
過去の価値観。
それ自体は悪くない。
誰だって思い出は大事や。
でも、
それだけにしがみついてしまうと、
今が壊れる。
ルミは、
過去を手放せなかった。
だから未麻の「今」が、
許せなかった。
ルミは怪物じゃない
ここははっきり言いたい。
ルミは、
最初から壊れていたわけじゃない。
むしろ、
壊れきれなかった人や。
夢を諦めきれず、
現実にも馴染めず、
その狭間で
ずっと立ち尽くしていた。
その結果、
心が追いつかなくなった。
それだけの話や。
まとめ|ルミの過去は、他人事じゃない
ルミの過去は、
特別な悲劇じゃない。
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若さが武器だった時代
-
評価されていた頃の自分
-
もう戻れない場所
これは、
誰の人生にも起こりうる。
だから『PERFECT BLUE』のルミは、
怖いけど、
どこか切ない。
もしこの視点で観たら、
ルミの行動は
ただの狂気には見えへんはずや。
それは、
過去に取り残された人間の、
必死すぎる抵抗やったんやと思う。
追記|もしルミが別の人生を選んでいたら
『PERFECT BLUE(パーフェクトブルー)』を観終わったあと、
どうしても残る感情がある。
「ルミにも、別の道はなかったんやろか」
これは同情でも、
言い訳でもない。
ただの、
人間として自然な疑問や。
もしルミが、アイドルを辞めたあとに距離を取れていたら
一つ目の分岐点。
もしルミが、
アイドルを辞めたあと
芸能界から一度距離を取れていたら。
未麻のマネージャーという立場は、
正直、
一番しんどい選択やったと思う。
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若さ
-
注目
-
才能
それらを、
毎日至近距離で見続ける仕事。
もしルミが、
まったく別の世界に身を置いていたら、
過去は少しずつ
思い出に変わっていたかもしれん。
もしルミが「過去の自分」を認められていたら
もう一つの大事な分岐。
ルミが苦しかったのは、
過去を失ったことより、
過去の自分を否定されたままやったことやと思う。
「私は、あの頃ちゃんと輝いてた」
そう自分で言えていたら、
未麻の変化も
受け入れられたかもしれへん。
過去を認めることと、
過去にしがみつくことは違う。
そこを越えられていたら、
ルミの人生は
だいぶ違っていたと思う。
もしルミが「変わること」を選んでいたら
未麻は、
怖くても変わった。
ルミは、
怖くて止まった。
もしルミが、
未麻より先に
「次のステージ」に進めていたら。
女優でも、
裏方でも、
全然別の仕事でもええ。
とにかく、
自分の意思で道を選んでいたら。
その時点で、
ルミは未麻の「影」にはならなかった。
それでも簡単じゃなかったという現実
ただな、
ここは綺麗事では終われへん。
ルミが置かれていた状況は、
決して楽じゃない。
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若さを失う恐怖
-
評価されなくなる不安
-
自分が不要になる感覚
これを乗り越えるのは、
簡単やない。
「別の人生を選べたはず」と言うのは、
外から見てるから言えることでもある。
それでも“選択肢”は存在していた
それでもな。
ルミの人生に、
選択肢がゼロやったとは思えへん。
ほんの少し環境が違えば、
ほんの一人でも
本音を話せる相手がいれば。
ルミは、
誰かのマネージャーじゃなく、
自分自身の人生を
生きられたかもしれん。
このifが、胸に残る理由
この「もしも」の話が
こんなに胸に残るのは、
ルミが特別な悪人じゃないからや。
誰にでもある分岐。
誰にでもある未練。
「自分やったら、
あの時どうしてたやろ」
そう考えさせられるから、
この映画は終わらへん。
まとめ|ルミは“選ばなかった可能性”
もしルミが別の人生を選んでいたら、
『PERFECT BLUE』は
起きなかった物語かもしれん。
でも同時に、
この映画は存在しなかった。
ルミは、
未麻が選ばなかった道であり、
私たち自身が
踏み出せなかった可能性でもある。
だから怖い。
だから切ない。
だから忘れられへん。
『PERFECT BLUE』は、
「過去をどう扱うか」を
静かに問い続ける映画や。